笑顔の高齢の女性と、娘

特養と老健の違い入所の条件・期間・費用・医療を比べる
(介護付き有料老人ホームとの違いも)

特養(特別養護老人ホーム)と老健(介護老人保健施設)は、どちらも介護保険の施設ですが、目的が違います。特養は介護を受けながら長く暮らす場所、老健は病状が安定した方がリハビリをして自宅に戻ることを目指す場所です。老健によく言われる「3か月」は、法令上の退所の期限ではなく、自宅に戻れるかを検討する頻度の目安です。この記事では、入れる人、いられる期間、東京23区での費用、医師・薬・リハビリの体制、申し込み方を比べ、3つ目の選択肢として介護付き有料老人ホームとの違いもご説明します。

1|ひと目でわかる、特養と老健と介護付きの違い

特養老健介護付き有料老人ホーム
目的介護を受けながら長く暮らすリハビリなどで、自宅に戻ることを目指す介護を受けながら暮らす住まい
入れる人原則として要介護3〜5(特例で1・2)要介護1〜5で、病状が安定している方ホームごとに決める(自立・要支援から入れるホームもある)
いられる期間期限はない期限はないが、少なくとも3か月ごとに自宅に戻れるかを検討期限はない(退去の条件は契約による)
入るときの費用なしなし前払金か敷金(前払金のない月払いもある)
毎月の費用介護保険の自己負担+居住費・食費同左月額利用料+介護保険の自己負担
所得による軽減居住費・食費の軽減あり同左なし
医師配置医(必要な数)常勤の医師(入所者100人に1人以上)配置の決まりはない(協力医療機関・訪問診療)
リハビリの職員機能訓練指導員1人以上理学療法士・作業療法士・言語聴覚士(100人に1人以上)機能訓練指導員1人以上
居室個室が基本(1人10.65㎡以上)。多床室も残る4人以下の部屋(1人8㎡以上)や個室個室が基本(1人13㎡以上)

介護保険の施設には、このほかに、長く療養が必要な方のための「介護医療院」があります(2018年4月にできた施設です)。特養と介護付き有料老人ホームの2つにしぼった比較は、特養と介護付き有料老人ホームの違いで詳しくご説明しています。

2|入れる人:特養は原則要介護3から、老健は1から

テーブルで書類を見ながら、相談員の話を聞く高齢の夫婦
※写真はイメージです

特養:原則として要介護3以上

特養に入れるのは、2015年4月から、原則として要介護3〜5の方です。要介護1・2の方でも、居宅で暮らすことが難しい「やむを得ない事由」があれば、特例で入れます(特例入所)。区の案内では、たとえば次のような事情が挙げられています。

  • 認知症で、日常生活に支障が出る症状や行動、意思の通じにくさが、たびたび見られる
  • 知的障害や精神障害などがあり、同じような症状や困難さが、たびたび見られる
  • 家族などによる深刻な虐待が疑われ、心身の安全を守るのが難しい
  • 一人暮らしや、同居の家族が高齢・病弱などで支えが期待できず、地域の介護サービスなども足りない

区によって書き方が違い、大田区では要介護1・2の方の申し込みに、ケアマネジャーなどの意見書が要るとしています。

老健:要介護1以上で、病状が安定している方

老健に入れるのは要介護1〜5の方で、病状が安定していて、看護や医学的な管理のもとでの介護、リハビリが必要な方です。入院して治療が必要な状態のときは入れません。要支援の方は対象外です。どの要介護度でどの施設に入れるかの一覧は、要介護度別に入れる施設と費用にまとめています。

3|いつまでいられる?老健の「3か月」の本当の意味

歩行器を使って歩く練習をする高齢の女性と、支える理学療法士
※写真はイメージです

「老健は3か月で出なければならない」と聞くことがありますが、法令に老健の入所の期限はありません。国の基準は、入所している方が自宅で暮らせるかどうかを、医師、看護・介護職員、支援相談員、ケアマネジャーなどが話し合って定期的に検討し、記録することを求めています。国の通知は、その検討を少なくとも3か月ごとに行うこととしています。つまり「3か月」は、退所の期限ではなく、検討の頻度です。

ただ、老健は自宅に戻るための施設なので、長く住み続けることは想定されていません。国の調査(2016年9月に退所した方)では、平均の在所日数は老健が約300日(約10か月)、特養が約1,285日(約3年6か月)でした。退所した方の行き先は、老健では医療機関(36.6%)と家庭(33.1%)が多く、特養に移った方は8.2%でした。特養では、亡くなったことによる退所が67.5%を占めています。

老健の次を、早めに考えておく

老健に入ったら、退所したあとの暮らしを早めに考えておくと、慌てずにすみます。自宅に戻るなら、住まいの手直しや介護サービスの準備を。自宅が難しいなら、特養の申し込みや、介護付き有料老人ホームなどの住まいを並べて考えます。退所の時期は、施設の話し合いの結果を聞きながら決めていきます。

特養は長く暮らすことが前提の施設で、入院しても、おおむね3か月以内に退院できる見込みであれば、退院後に戻れるよう配慮することが、国の基準で決められています。

4|費用の違い:東京23区で1か月いくらかかるか

介護保険の書類と、電卓、吹き出しの形のメモ
※写真はイメージです

特養と老健では、入るときにまとまったお金はかかりません。毎月かかるのは、介護保険の自己負担(1〜3割)と、居住費・食費、日常生活費です。居住費と食費は施設との契約で決まりますが、国が平均的な額として「基準費用額」を示していて、2026年8月から食費は1日1,545円になりました。居住費(1日)は、部屋の種類によって次のように違います。

部屋特養老健
ユニット型
個室
2,066円2,066円
従来型個室1,231円1,728円
多床室915円437円

※ 基準費用額(2026年8月から)。老健の多床室は、室料をとる施設では697円です。出典:介護サービス情報公表システム「サービスにかかる利用料」

要介護3・1割負担で、東京23区の単価(1単位10.90円)を使って1か月(30日)の目安を出すと、次のようになります。

施設と部屋1か月の目安
特養・多床室約9.8万円
特養・ユニット型個室約13.5万円
老健・多床室約8.9万円
老健・従来型個室約12.5万円

※ 編集部の試算です。介護サービス費の自己負担(2024年度の介護報酬の基本の単位数。老健は在宅復帰の取り組みが基本型の施設)と、基準費用額の居住費・食費の合計で、加算、日常生活費、医療費は含みません。実際の額は施設の料金表で確かめます。

多床室なら老健のほうがやや安く、個室では特養のほうが安くなります。所得と預貯金が一定以下の方は、区に申請して「負担限度額認定」を受けると、居住費と食費が軽くなります。介護保険の自己負担には月の上限(高額介護サービス費)もあります。

介護付き有料老人ホームは、入るときに前払金(入居一時金)か敷金がかかり、月額利用料(家賃・管理費・食費など)に介護保険の自己負担が加わる形で、居住費・食費の軽減の対象にはなりません。前払金のしくみは有料老人ホームの前払金とはで、介護保険の自己負担のしくみは特定施設入居者生活介護とはでご説明しています。

5|医師の配置・薬・リハビリの体制は、どう違うのか

医師と看護

老健には常勤の医師がいて、入所者100人に1人以上の医師を置く決まりです。特養の医師は、入所者の健康管理に「必要な数」を置く決まりで、嘱託の配置医が通ってくる形が多くなります。介護付き有料老人ホームには医師を置く決まりはなく、協力医療機関や訪問診療の医師が診察します。看護・介護職員は、3つとも入所者3人に1人以上が基準です。

薬

老健では、入所中の薬代は原則として施設の介護報酬の中に含まれ、施設の医師が処方します。そのため、同じ効き目の薬への切り替えや、薬の整理を検討することがあります。抗がん剤など一部の薬は医療保険で出せますが、高い薬を使っている方は、入所の前に相談しておくと安心です。特養や介護付き有料老人ホームでは、薬は医療保険で処方されるのが基本です(施設ごとの運用は確かめておきます)。

リハビリ

老健には、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士を、入所者100人に1人以上置く決まりがあり、リハビリは1人あたり週2回程度が目安とされています。特養と介護付き有料老人ホームは、機能訓練指導員を1人以上置き、日々の暮らしの中で体の働きを保つ訓練を行います。老健を出たあともリハビリを続けたい方は、老人ホームのリハビリ(機能訓練)もご覧ください。医療ケアが必要な方の選び方は医療ケアが必要な方の老人ホーム選びにまとめています。

6|申し込みのしかたと、特養を待つあいだの選択肢

タブレットを見ながら、相談員の話を聞く高齢の女性と娘
※写真はイメージです

特養の申し込み先は、区によって違います。大田区・世田谷区・目黒区では、区の窓口(地域包括支援センターなど)にまとめて申し込み、区が介護の必要の度合いや家族の状況などで優先度を決めます。申し込んだ順ではありません。施設に直接申し込む区もあります。区ごとの窓口と順番の決め方は、大田区・世田谷区・目黒区の記事にまとめています。

老健は、入所を希望する施設に直接申し込みます。病院から退院するときに入ることが多く、その場合は病院の相談員(医療ソーシャルワーカー)と一緒に探すのが一般的です。

特養の入所申込者は、全国で要介護3以上の方が20.6万人(2025年4月1日時点)です。東京都の調査では、都内の申込者は20,650人で、そのうち在宅で要介護3以上、入所の優先度が高い方は2,888人でした(2025年4月1日時点)。

どこを選ぶかを考える4つの問い

  • 長く暮らす場所か、家に戻るための場所か。自宅に戻る見込みがあるなら老健、長く暮らすなら特養や介護付き有料老人ホーム。
  • 医療と薬。医療的なケアや、高い薬を使い続ける必要があるか。
  • いつまでに必要か。特養の順番を待てるか。待てないときは、老健や介護付き有料老人ホームも並べて考える。
  • 費用。月々の負担と、所得による軽減が使えるか。

特養を待つあいだの選択肢や、入居を考えはじめる時期は、特養と介護付き有料老人ホームの違いと親を老人ホームに入れるタイミングでもご説明しています。

東急ウェリナケアの場合

東急ウェリナケアの旗の台・自由が丘・尾山台は、3ホームとも介護付有料老人ホーム(一般型特定施設入居者生活介護)です。入居の期限はなく、自立の方から要介護5の方まで、原則として満65歳以上の方が入居できます。看護師と介護スタッフが24時間常駐し、看取りにも対応しています。

退院後や、老健を退所したあとの住まいとしてのご相談も承っています。入居までの流れと必要な書類は有料老人ホームの入居条件と入居までの流れで、費用の全体は東急ウェリナケアの費用でご覧いただけます。

ご相談は、お電話(旗の台 0120-068-109・自由が丘 0120-335-109・尾山台 0120-626-109。いずれも受付10:00〜17:30・無休)か、資料請求・見学予約のフォーム(旗の台・自由が丘・尾山台)から承ります。

よくあるご質問

Q特養と老健の、いちばんの違いは何ですか。

A特養は介護を受けながら長く暮らす施設、老健は病状が安定した方がリハビリなどをして、自宅に戻ることを目指す施設です。どちらも介護保険の施設で、入るときにまとまったお金はかかりません。

Q老健に、ずっと入所し続けることはできますか。

A法令に入所の期限はありませんが、老健は少なくとも3か月ごとに自宅で暮らせるかを検討する決まりで、長く住むための施設ではありません。平均の在所日数は約300日(2016年の国の調査)なので、次の行き先を早めに考えておくと安心です。

Q老健は3か月で退所しないといけないのですか。

A「3か月」は退所の期限ではなく、自宅に戻れるかを検討する頻度の目安(少なくとも3か月ごと)です。リハビリの必要や家の受け入れの準備によって、続けるか退所するかを、施設が医師や職員の話し合いで判断します。

Q要介護1・2でも、特養に入れますか。

A原則は要介護3以上ですが、認知症や知的障害・精神障害で居宅での生活が難しい、深刻な虐待が疑われる、一人暮らしなどで支えが得られない、といったやむを得ない事情があれば、特例入所の対象になります。申し込みのときに、区の窓口に具体的な事情を伝えます。

Q老健と特養は、どちらが安いですか。

A東京23区・要介護3・1割負担の目安(加算は除く)では、多床室なら老健が約8.9万円、特養が約9.8万円で老健がやや安く、個室では特養のほうが安くなります。所得が低い方は、どちらも負担限度額認定で居住費と食費が下がります。

Q老健に入ると、薬が変わることがあるのはなぜですか。

A老健では、入所中の薬代が原則として施設の介護報酬に含まれ、施設の医師が処方します。そのため、同じ効き目の薬への切り替えや整理を検討することがあります。高い薬を使っている方は、入所の前に相談しておきます(抗がん剤など一部は医療保険で出せます)。

Q特養の空きを待つあいだ、老健に入っていてもよいですか。

A老健に入所していても、特養に申し込むことはできます。ただ、老健は自宅に戻ることが目的なので長くはいられず、特養の順番は区の評価で決まります。介護付き有料老人ホームなども並べて考えておくと安心です。

Q特養に入所中に入院したら、どうなりますか。

Aおおむね3か月以内に退院できる見込みであれば、退院したあとに戻れるよう配慮することが、国の基準で決められています。入院中の費用の扱いは、施設に確かめておきます。

Q老健と介護付き有料老人ホームは、何が違いますか。

A老健は自宅に戻るための施設で、常勤の医師がいます。介護付き有料老人ホームは期限のない住まいで、医療は協力医療機関や訪問診療で受けます。費用は介護付きのほうが高めで、居住費・食費の軽減は使えません。

Q特養や老健には、どこに申し込めばよいですか。

A特養は、大田区・世田谷区・目黒区では区の窓口(地域包括支援センターなど)にまとめて申し込み、区が優先度を決めます。老健は、入所を希望する施設に直接申し込みます。

出典と確認日

この記事の内容は、2026年10月21日に、次の資料で確認しました。

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